健康な植物を育てる一番のポイントは『土壌管理』
同じ作物、または同じ科の作物を、同じ場所で数年連作すると『連作障害』をおこします。
主な要因は、
1:土壌病害虫(病害性の微生物)の増加
連作によって特定の細菌やウイルス、害虫が土壌中に増加します。
2:土壌の物理性や化学性の悪化
植物は自分が必要とする要素(栄養等)を土壌中から吸収して成長します。
連作するとその植物が必要とする要素が大幅に欠乏します。
そのように『欠損障害』をおこしたり、逆にその植物が必要としない要素が
あまって蓄積し『過剰障害』をおこします。
3:生育阻害物質の分泌
植物は根や葉から自分自身に有害な物質を分泌している場合があります。
連作によって蓄積されたその物資が、植物の成長を阻害します。
上記のうちもっとも被害が重く、対応がむずかしいのが病害虫や
害虫(多くはセンチュウ)の増加によって発生する病害(土壌病害)です。
その場合、同じ種類の病気・害虫の被害が続けて発生します。
連作障害を防ぐ方法
連作障害を防ぐには、養分の欠乏や有害成分などによる
生理障害によるものか、病害虫の発生によるものなのか、
原因を見極めて対処する必要があります。
原因により次のような対処方法があります。
1:堆肥や緑被などの有機物を投入します
2:いくつかの異なる作物をローテーション方式(輪作)で栽培します
3:土壌を一定期間湛水(たんすい:水で満たしておくこと)状態にします
4:土壌の上層と下層を入れ替える『天地返し』
をします
5:太陽熱や熱水、薬剤等による『土壌消毒』
をします
6:抵抗性品種や抵抗性台木を利用します
土壌に安定して有用微生物が存在すると、病原菌の増加を抑え、
植物に抵抗性を与え、病気が発生するのを抑えます。
化学肥料に比べて、有用微生物を含む堆肥は土壌の通気性や
養分バランスを自然とよくする効果が期待できます。
連作障害は、類縁関係の近い(同じ科など)を避けて
ローテンション方式(輪作)で作付することで軽減します。
しかし、病原菌が死滅する期間は種類によって異なるので、
休栽期間も作物によって違います。
例えばトマト、ナス、スイカなどは6年以上、ハクサイ、ジャガイモ、
インゲンマメなどは2年以上、キュウリ、キャベツなどは1年以上、
休栽期間が必要と言われています。
ハッキリと病害が発生した場合は、それ以上期間をおいた方がいいという考えもあります。
たとえ同じ作物でなくても、「科」が同じ場合は連作障害が出る可能性があります。
輪作を考えた場合は、「科」についても考えなくてはいけません。
推奨される輪作の例は「イネ科作物」→「マメ科作物」→「根菜類の作物」とされています。
イネ科作物は、有機物の還元量が多く、地力を増強させる性質があります。
マメ科作物は窒素固定により、土壌中の窒素を増加させます。
根菜類の作物は、収穫作業のため土壌を深く起こす必要があるため深部まで耕され効果があります。
健康な作物を栽培するためには、生育を支える環境=土壌の健康診断が必要です。
その診断に欠かせないのが土壌酸度(pH)の測定です。
pHは、0〜14の値で、1〜6は酸性、7が中性、8〜14はアルカリ性です。
雨の多い日本の土壌は酸性が多く、そのままではpH4.5〜5.5の酸性になる傾向があります。
土壌の最適なpHは、5.5〜6.5のやや酸性です。
これは、日本の土壌に適している農作物の種類を選択したことが理由だと思います。
ただし、5.5以下のpHになると健康な農作物を作るのに問題が生じてきます。
酸性に傾きすぎた土壌で起こる障害例
・土の粘土に含まれる
アルミニウミイオンが溶け出して、作物の根を傷めます。
・溶け出したアルミニウミイオンとリン酸イオンが結合し、
難溶性となり、根がリン酸を吸収できなくなります。
・土壌中の鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウムなどの
無機成分が酸性で溶け出し、雨水によって土壌から流出して必須栄養分が欠乏します。
・酸性度が強い土壌では、微生物の活性が低く、
有機物の分解による窒素などの養分供給が少なくなります。
病害発生の誘因になる可能性
土壌酸度(pH)は、病害の発生に関連しています。
・酸性土壌で発病増加する例(pH7以上で発生抑制)
キャベツやコマツナの根こぶ病、トマト萎凋病、ラッカセイ白絹病
・アルカリ土壌で発病増加する例(酸性では発生が少ない)
ジャガイモそうか病、サツマイモ立枯病、レタスビッグベイン病
土壌のpHを定期的に測定し、5.5以下の酸性に傾いているようであれば、石灰類を施して調整します。
一度に多くの石灰を施して土壌がアルカリ性に傾きすぎると、
根がマグネシウムや鉄などを吸収しにくくなるため土壌のpHバランスを考えることが重要です。
植物の生育に不可欠で、比較的多量に必要な要素は9つあります。
その中で、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)は空気や水から供給されます。
残りの6つの要素は、不足分を肥料として補う必要があります。
とくに窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)は
『肥料の三大要素』と呼ばれ重要視されています。
肥料を購入する際にも袋にその割合が書かれています。
その他のカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、イオウ(S)は
『中量要素』として重要な役割をはたしています。
土壌の栄養状態(養分の過不足)は、病気への抵抗性や健全育成の
土台となる「根張り」と密接に関係しています。
★6つの多量要素と植物体内での役割
窒素(N)
たんぱく質、アミノ酸、葉緑素、酵素の構成成分です。
作物の成長に最も大きく関わっている養分で、葉や茎を伸長させ、
葉の色を濃くする働きがあります。過剰に与えると、軟弱に育って、
病害虫に対する抵抗力を弱めます。
これは、病害抵抗性に関与するフェノール化合物が減少し、
防衛物質であるリグニン含有量も低下するためです。
リン酸(P)
吸収作用や体内エネルギーの伝達に重要な働きがあります。
一般に植物の成長、根の伸長、開花、結実を促進します。
基肥にはリン酸を主体として根を優先した生育が望ましいと言われています。
カリウム(K)
光合成や炭水化物の移動蓄積に関与しています。
硝酸の吸収、たんぱく質合成に働き、開花結実の促進、根や茎を強くします。
カリウムが植物に充足すると、耐菌性を強めるアルギニンの濃度が高まり、
病害や寒さに対する抵抗力をつけます。
カルシウム(Ca)
植物の体内に過剰にある有機酸を中和する働きがあります。
とくに根の先端の正常な発育や伸長に欠かせない成分。
植物のカルシウム濃度が高まると、病害抵抗性も高くなります。
これは細胞壁構造を強くし、侵入微生物が植物の組織を軟化するために出す
ペクチン分解酵素の活性を抑制するためです。
マグネシウム(Mg)
葉緑素の成分で、活性酸素の毒を抑える働きがあります。
欠乏すると活性酸素障害で葉が黄化します。
炭水化物代謝、リン酸代謝へ酵素の活性化をはかります。
マグネシウムが欠乏すると、葉から根への炭水化物の体内移動が
低下するため根の生育が悪くなります。
イオウ(S)
たんぱく質、アミノ酸、ビタミンなどの重要な化合物をつくります。
炭水化物代謝、葉緑素の生成に間接的に関与します。
イオウが不足すると、植物は軟弱になり、病気にかかりやすくなり、
下葉から黄化していきます。
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★要素どうしの拮抗作用に注意!
カリウムが過剰になると、マグネシウムやカルシウムの吸収を阻害します。
カルシウムが多くなると、マグネシウム、カリウム、リン酸の吸収を妨げます。
リン酸が過剰になると、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)の吸収を妨げます。
一般的に、植物に必須の養分が欠乏すると感染性病害への発病率が高まります。
植物に不可欠な要素は、多量要素の6つ以外に『微量要素』として8つあります。
とくに欠乏する割合が高いのが、ホウ素(B)とマンガン(Mn)です。
それ以外では健康的な土壌からの天然供給で間に合うと言われています。
ただし、土壌中の肥料濃度が高すぎたり、土壌酸度(pH)の上昇による
アルカリ化により、微量要素欠乏はおこりうると考えられます。
『普通肥料』の規定では、「ホウ酸質肥料」「マンガン質肥料」と
ホウ酸とマンガン、亜鉛などの微量要素を含む「微量要素複合肥料」の3つがあります。
★微量要素欠乏による病害例
病害の鯨飲は次のことが考えられます。
・細胞組織が軟化して、壊れやすくなります。
・病原菌への防御物質の生成機能が衰えます。
ホウ素または亜鉛が欠乏すると、細胞膜の透過性が増し、
アミノ酸や糖類などの養分が根や葉から失われます。
さまざまな病原体が誘引され、感染しやすくなります。
ホウ素欠乏の植物は細胞内成分が葉の表皮に流出しやすく、
うどんこ病などの感染・増殖がしやすくなります。
また、防衛物質であるリグニン合成が減少します。
亜鉛が欠乏すると、植物が立枯病菌など、苗を株全体を枯らし、
病原菌に感染しやすくなります。
マンガン欠乏は、穀類植物(イネ科、マメ科)の立枯病、ナス科の半身萎凋病、
水稲のいもち病など、多くの病気を引き起こす可能性があります。
マンガンが欠乏することで、防衛物質であるリグニン合成能力が低下し、病害虫にも弱くなります。
★8つの微量要素と植物体内での役割
鉄(Fe)
光合成の化学反応に関わる酵素の構成成分です。
鉄は土壌中に大量に含有しているが、アルカリ化で吸収されにくい不可給態になります。
マンガン(Mn)
葉緑素の生成、光合成、酵素の活性化など生理的に重要な役割をもちます。
土壌のアルカリ化で
吸収されにくい不可給態になります。
ただし、酸性化では過剰害をおこすおそれがあります。
亜鉛(Zn)
葉緑素の形成や植物成長ホルモンの調節をします。
植物の体内酵素の活性に関与しています。
細胞分裂に不可欠で、欠乏するとたんぱく質合成が阻害されます。
銅(Cu)
葉緑体の中の酵素たんぱく質に多く含まれます。
光合成と呼吸に重要な働きを持ち、欠乏すると新しい葉が黄化し、生育が悪くなります。
塩素(Cl)
光合成の酸素発生反応をマンガンとともに触媒します。
植物体の塩素含有率は微量要素中最大で、塩素を施すと、繊維質が多くなります。
モリブデン(Mo)
植物体内の硝酸還元酵素の構成成分です。
硝酸態窒素のたんぱく質同課に重要な働きを持ち、根粒菌の窒素固定にも必要です。
ニッケル(Ni)
植物体内で生じる尿素の分解酵素の構成成分として重要です。
尿素の分解酵素の働きを通してたんぱく質の合成に関与しています。
ホウ素(B)
カルシウムと類似し、細胞膜の形成と維持に役立ちます。
欠乏すると根の伸長が阻害され、細根が減少し、植物全体が矮性化しやすくなります。
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★特定の作物に有益な「有用元素」
「有用元素」は、必須ではないが特定の植物の育成に有利に働く元素のことです。
土壌に大量に含まれているケイ素(Si)は、イネ科作物の含有量が特に多く、
茎や葉を丈夫にする効果があります。欠乏するといもち病にかかりやすくなります。
ナトリウム(Na)はてん菜に、コバルト(Co)やセレン(Se)はマメ科の作物の生育に有益です。
おもな作物の休栽期間
連作障害が少ない(翌年・次シーズンに栽培が可能)
アサツキ、カボチャ、コマツナ、サツマイモ、シソ、タマネギ、トウモロコシ、ニンニク、ニンジン、ヤマノイモ、ラッキョウ
休栽期間1年
エダマメ、オクラ、カブ、キャベツ、シュンギク、タアサイ、ダイコン、チンゲンサイ、トウガン、ネギ、パセリ、フダンソウ、ホウレン草、キュウリ
休栽期間2〜3年
イチゴ、カリフラワー、サヤインゲン、ジャガイモ、セルリー、ソラマメ、ナガイモ、ハクサイ、ミツバ、リーフレタス、レタス
休栽期間4〜5年
サトイモ、トウガラシ、ピーマン
休栽期間6〜7年以上
サエエンドウ、ゴボウ、スイカ、ナス、トマト
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病害や害虫が発生し、被害が広い面積に広がってしまったとき、
土を消毒する必要があります。
土壌の消毒には、「太陽熱消毒」「天地返し」「寒ざらし」などがありますが、
広い面積に適しているのが「石灰窒素による土壌消毒」です。
石灰窒素は、農薬と肥料の両方の効果が得られ、
土壌中で溶けて「シアナミド」という物質になります。
シアナミドは殺虫・殺菌作用を発揮します。
シアナミドは、1〜2週間程度で無害化し、
最終的には「窒素(硝酸)」に変化し、肥料になります。
土壌消毒の方法としては、まず消毒するスペース全体に
1平方メートルあたり約100gの石灰窒素をまきます。
それをよくすき込んで耕し、一ヶ月程度置きます。
雑草防止やセンチュウ防除にも有効で、pHの調節にも使えます。
消毒後は完熟した堆肥を施し、有用微生物を補給します。
石灰窒素の取り扱いには、農薬と同様に十分な注意が必要です。
肌に直接触れるとかぶれる可能性もあるので、極力肌を出さないように、
長そで・長ズボン・手袋・マスク・ボウシなどを着用します。
メガネ・ゴーグルなどを着用し、目にも入らないように対策をします。
石灰窒素の散布作業の後は、すみやかに着替え、水洗いなどをします。
使用直後に飲酒することで急性アルコール中毒をおこした事例があります。
十分に注意し、アルコールは控えましょう。
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農薬等の使用を減らしたい方は、ご相談下さい。
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