病害菌や害虫の原因と種類、作物に発生した場合の事例を紹介
糸状菌は、一般的に「カビ」と呼ばれているものです。
その名の通り、菌糸と呼ばれる糸状の菌です。
水田や畑にはたくさんの微生物が生息しています。
微生物は自然界の物質循環や生態系にとってなくてはならない大切な存在です。
しかし、一部の微生物は植物の生育に有害になることがあります。
植物の生育を悪くし、場合によっては死滅に至るような重症な病害を引き起こします。
微生物は小さい順に「細菌」「放線菌」「糸状菌」「藻類」「原生動物」がいます。
微生物ではありませんが、病原体として植物の健康を害するウィルスもあります。
土壌微生物は重量換算で、約7割が糸状菌で、植物の病害の約8割が糸状菌によるものです。
糸状菌は多くの場合、胞子をつくり、飛散することで新しい場所で発芽し、成長します。
病原糸状菌は吸着器を作るなどして、植物体内に侵入します。
糸状菌をはじめ、多くの病原菌は温暖多湿な環境を好みます。
雨が降ると胞子が飛散しやすく、土壌中で病原菌が移動しやすくなります。
☆糸状菌による主な病気
フザリウム菌:
トマト萎凋病、イチゴ萎黄病、サトイモ乾腐病、キュウリつる割病、イネ苗立枯病の一種
バーティシリウム菌: ナス半身萎凋病
リゾクトニア病:野菜の苗立枯病の一種、イネ苗立枯病の一種、紋枯病
褐色根腐病菌: トマト褐色根腐病
根こぶ病菌:アブラナ科の野菜の根こぶ病
白絹病菌:各種野菜の白絹病
疫病菌:各種野菜の疫病 ※宿主となる野菜により種が異なります。
菌核病菌:各種野菜の菌核病
苗立枯病菌:
各種野菜の苗立枯病
白紋羽病菌: 各種果樹、茶等の白紋羽病
細菌は微生物の中でも小さく、形状は球状、竿状、らせん状などがあります。
植物に感染する細菌はほとんどが竿状です。
細菌の多くは鞭毛を持ち、水中を移動します。
酸素のないところでも生息できるので、水田などの環境では糸状菌よりも
細菌が生息しやすい環境と言えます。
細菌は「バクテリア」とも呼ばれ、細胞分裂をくりかえし増殖するため、
感染スピードがはやく、被害が重大になりやすいと言えます。
放線菌は、大きさや構造は細菌に似ているが、糸状菌のように菌糸をのばし、
胞子をつくるのが特徴です。
放線菌は抗生物質をつくるなどの有益な働きもあるが、植物に有害なものもあります。
☆細菌による主な病気
青枯病、黒腐病、軟腐病、腐敗病、斑点細菌病など
ウィルスは細菌よりさらに小さく、生物の仲間ではないが、
他の生物の体内に侵入し、まるで生物のように増殖します。
ウィルスの感染経路は、昆虫などを媒介にするものと、
植物の根の傷口からの侵入するものと、土壌中のカビを媒介にするものがあります。
農作業中の人間の手や履き物、農機具などから感染することがあります。
ウィルスによる病害は、農薬では防除できないので、
一度ウィルスによる病気が発生してしまうと、被害を抑えることは難しいです。
ウィルス対策は、予防を中心とした対策を心がける必要があります。
ウィルスによる病害の症状は、葉や花弁にモザイク状の斑点、
茎や株全体の萎縮、葉の黄化、奇形、葉や茎の壊疽、生育不良など、様々です。
これらの症状が短期間であらわれ、複合であらわれるともあるので、ウィルスの特定は難しいです。
☆ウィルスによる主な病気
モザイク病など
生育に適した環境で育った植物は、病害に感染することも少なく、丈夫に育ちます。
不適切な環境で育った植物は生育が悪く、抵抗力が弱まるため、病害菌が繁殖しやすくなります。
植物の病害予防には、それぞれの植物に最適な環境で栽培することです。
同時に、病害菌が好む条件をできるだけ排除することです。
多くの植物は、光合成がしやすい日当たりのよい場所を好みます。
密植を避けて、株間を適切に開け、剪定や間引きなどで風通しがよくなります。
風通しをよくすることで、湿度を下げ、病害菌の繁殖を抑えます。
土壌の水はけが悪いと、植物の根が呼吸しづらくなり、生育が悪くなります。
湿った土壌は病害菌が繁殖しやすくなります。
水やりの際は、生育状況、土壌の状態、天候などを考慮しながら、適量を与えます。
植物の花や葉に直接水をかけると、病害菌が繁殖しやすくなります。
空気感染
主に胞子をつくる糸状菌は空気感染します。
胞子を大気中に飛散し、植物に付着して感染します。
気候などの条件により、かなりの広範囲まで被害が広がることがあります。
土壌感染
土壌中にある病害菌が主に根から植物に感染します。
土壌には糸状菌など多くの微生物が生息しているが、病原性を持つものはごく一部に限られています。
しかし、同じ作物または同じ科の作物をくりかえし栽培することで、
その作物にとって病原性をもつ菌の密度が高まり、病害を引き起こします。これが連作障害です。
糸状菌は土壌中で耐久体をつくることで、数年間生存することができます。
通常は危害を加えませんが、好みの植物の根を選んで活動を始めます。
種苗感染
種子、苗木、球根、根茎などに潜んでいる病原体から感染します。
媒介生物(昆虫)感染
感染した植物の汁液を吸った昆虫が、健康な植物へ病原体を感染させます。
植物には病原菌の他に、ダニ、センチュウ、昆虫などの害虫があります。
植物がしおれたり、変色するなどの症状が出た場合、その原因が病原菌か、
害虫によるものなのか判別し、対処をする必要がある。
害虫にはダニやセンチュウのように肉眼では確認しづらいものから、
昆虫のように数センチほどの大きさのものまで様々な害虫がいます。
害虫は種類によって好む植物が決まっているので、
発生時期、植物の被害部位などを
見ることで目には見えない害虫の種類を推測することができます。
吸汁性害虫
ダニやアブラムシなどの植物の体内の汁(養分)を吸って被害を与える害虫
これらはサイズが小さいので被害が甚大になるまで気づかないことが多いです。
食害性害虫
アオムシなどの植物の葉などを直接食べ、穴をあけたり、食いきったりという被害を与える害虫
いずれも多発すると被害が重大になるので、常に植物の症状をよく観察する必要があります。ただし、すべての虫が害虫というわけではありません。実害のない虫もいますし、目に見えない地中などで被害を与える害虫もいます。
地下部に被害を与える害虫
害虫の防除は予防が大切。
栽培を始める前から、害虫を寄せ付けない環境を整えることが基本です。
一度、害虫の被害が発生してしまうと、気づかないうちに被害が拡大し、重症化します。
常日頃から、害虫の存在や植物の成長の異変をよく観察し、出来るだけはやく対処することが大切です。
害虫防除の栽培環境
一番のポイントは日当たりと風通しをよくすることです。
植物が丈夫に育てば、害虫の存在初期段階の攻撃に対抗でき、排除する力を自ら発揮します。
周囲の雑草は大きく成長する前にこまめにとるようにします。
雑草は植物から養分や水分を奪い、日当たりや風通しなどの環境を悪化させます。
害虫を侵入させない、雑草を増やさないために、防虫ネット、寒冷紗、マルチなどが有効です。
害虫を抑制する手段として、天敵を利用する方法もあります。
例えば、テントウムシはアブラムシをエサとして食べるので、農薬等に頼ることなく、
効果的にアブラムシの抑制を行うことができます。
しかし、害虫が発生した場合、初期段階では見つけ次第捕殺します。
害虫の中には、触れると人体に害のあるものもいるので、手袋、マスクなどをして
しっかりと対策する必要があります。
切除した葉や茎は、被害が広がらないように袋などにいれて、適切に処分します。
害虫が手作業で処分できないほど、広範囲または甚大な被害が出てしまった場合は、
殺虫剤等の使用も検討します。
殺虫剤の使用をくりかえすことで、抵抗性害虫の発生を引き起こしたり、
有益な天敵を死滅させ、結果的に逆効果になってしまう可能性もあります。
殺虫剤の使用は適切に行うようにしましょう。
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